ミントグリーン~糖度0の初恋~
「ちぇ…」
不貞腐れながらグラスを口に運んだ私にシンタくんは呆れたように息をつく。
「6年も経つとこんなにも生意気になるんだな…」
ポツンと呟いたシンタくんに私は黙って舌を出してみせた。
6年。
口にするのは簡単だが、実際にはとてもとても長い時間だ。
私は、中学・高校と2つも学校を卒業して大学生になった。
シンタくんは、家の事情で大学を2年で中退し、地元の川越でbarをオープンさせた。
兄は、小学校の教師になるという夢を叶える寸前に色々なことがあって、しばらくはバイトを転々とし、ようやくこの春から予備校の講師になった。
春ちゃんは……もう、どこにもいなくなってしまった。
6年という時間は、あの頃の私たちが想像していた未来とは全く違う場所へ私たちを導いていた。