ミントグリーン~糖度0の初恋~


「本当に来たんだな…。東京まで」


カウンターの向こう側で腕組みをして感慨深げにシンタくんが言う。


「本当に来たんだよ。
ね、お腹空いた」



私の言葉に1つ大きく息をつくと、シンタくんは調理をするために動き出した。



6年経っても変わらないものもある。


私たちの関係はずっと
『妹みたいなもん』
『兄のような存在』
とお互いを表現しあったままだ。


もちろん私のそれは表向きで実際は
『ずっと想い続ける初恋のキミ』
だけど。


お互いの呼び方は、
『千波ちゃん』から『千波』へ
『シンタさん』が『シンタくん』に変わって、すっかりリラックスして会話できるようになった。


だけどそれは喜んでばかりもいられない変化で、シンタくんにとってすっかり私は『家族同然』の存在になってしまっている。





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