ミントグリーン~糖度0の初恋~
「そっか…」
カイチくんが大きく息をついてそう言ってくれるまで、随分長い時間がかかっていたと思う。
「それじゃ、仕方ないよね。
うん…分かった。諦めるよ」
無理にだろうけど、カイチくんは私に微笑みかけてくれた。
「頑張んなよ。日吉。
あ、そうだ。これあげる。
手、出して」
私に向かって右手をグーにして差し出す。
私の左の掌にほんの少しの冷たい感触。
「それ、良かったらお守りにして。
後、東京って広そうで狭いから。
大学も近いし、ひょっこり顔合わせるときがあるかもね。
その時は、無視したりするなよ?」
「も、もちろん…」
私の返事に満足したように
「…じゃあな、元気で」
カイチくんは、ヒラヒラと手を振りながら去っていった。