ミントグリーン~糖度0の初恋~
「何難しい顔して考えてるんだよ」
ボンヤリとしていたら、背中を向けて料理していたはずのシンタくんが私の真正面に立っていた。
「料理はまだ少し時間かかるからこれでもつまんでて」
出されたのは、この店の看板メニュー『三男のバターピーナッツ』
この店のメニューは、このピーナッツに限らず全ての料理に『三男の~』と頭に付いている。
この店のお客さんの中でこれを作ってるマスターが一人っ子だと知ってる人は殆どいない。
大学を辞めたと聞いたときもその後barを開いたと聞いたときも心底驚いたが、
それはシンタくんのお父さんが急に亡くなってしまったからで、
お酒が大好きだったお父さんの遺志を継いで店をやる決意をしたからなんだけど。
店の名前だけは全くの予想外。
一人っ子のマスターが『三男坊の家』って…。