ミントグリーン~糖度0の初恋~



『ここで自分好みのbarを開くのが親父の夢だったから。

腕のいいバーテンを探し始めたところで死んじゃったけどね。

だったら、俺がやってみようかと思って始めたんだ。
せっかくなら潰したくないじゃん?

だから三男坊の家』



そう言いながら見せてくれたのは3匹のこぶたの絵本。


これもお父さんとの思い出の品らしくて、バックヤードの片隅に大切に置いてある。



センスはともかく、経緯を知っていればいい名前の店だな、と思える。


そして、この経緯と店の入り口の看板(立派な一枚板に毛筆で店名を直筆)を書いたのが私の兄だということを知っているのが私のささやかな優越感になっている。


シンタくんはお客さんに『三男なんだ?』と言われても微笑むだけで否定しないから勘違いしている人が殆どなのだ。


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