私の人生を決めてください
木造の建物が軒を連ねるタイムスリップしたかのような碁盤の目の町をわたし達は歩いていた。

「ひかりちゃんみてみて!」

「わー、かわいい雑貨屋!」

「これ聖ちゃん好きそう」

「どれどれ?」

未世ちゃんが見つけたのは和柄の小物がショーウィンドウに飾られた雑貨屋さん。
名前を呼ばれて聖ちゃんも駆け寄って行った。

「どれどれー?」

「わー、かわいい。入ってみようよ」

店内はカラフルな小物やバッグが並んでいた。

「これかわいい」

ひかりちゃんが手にしたのはうさぎが描かれた赤い小さな鏡。


ひかりちゃんは未世ちゃんと同期で、わたしと未世ちゃんと同い年。


「ほんとだ。色いっぱいあるよ」

「色違いで買っちゃう?」


年に一度の社員旅行はお店を休みにできないので、半分ずつ2班で行われる。

班わけで勿論テンションは変わるのだが、嬉しいことに聖ちゃん、未世ちゃん、ひかりちゃんと同じ班になれた。
社内で特に仲のいい3人と同じ班で旅行がより楽しい。


全員で昼食を食べ終わり今は自由時間。
夕食の時間まで各々京都市内を散策している。


「わたしこの緑にしよー。花菜ちゃんはこれ?」

未世ちゃんが差し出したのはショッキングピンクに近い濃いめの色。まさにわたしの好み。

「花菜ちゃんぽいね」


聖ちゃんが黄色、未世ちゃんが緑、ひかりちゃんが赤、そして私がピンク。
それぞれお気に入りの色を買った。

「お揃いだね」

店を出て聖ちゃんが振り返った。

こうして楽しい思い出がまた増えた。



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