一輪の花
何度別れようかと思った事か、と彼女は想いを巡らせた。

彼は束縛とまでは言わなくても面倒な人だった。

逐一彼とメールをするのが嫌になった事もあった。
些細な事ですぐ怒る彼にうんざりした事もあった。

しかし、今はこんなにも切ない。

こんな別れを待たずに早く別れを告げてしまえばよかったと彼女は思った。

それでもどんなに面倒でも、時々いなくなればいいのにと思っても、彼女は彼に別れを告げる事はしなかった。


出来なかったのだ。


腹立たしく思っても結局は彼の事が好きなのだと思わざるを得なかった。


『私だったら嫌になっちゃうよ』


そう友達に言われる事もあった。

事実彼女も嫌になったのだ。




でも嫌いにはなれなかった。


< 2 / 5 >

この作品をシェア

pagetop