一輪の花
「最近つき合いいいね」
大学からの友人は彼女とカフェでお茶をしながら首をかしげた。
「そう?……時間が空いちゃって」
「そっか、もう彼地元戻ったんだっけ?」
「そうなんだよ。今まで一緒にいたから変な感じしちゃって」
そう笑う彼女に友人は少し不安になった。
遠距離恋愛はこの世にごまんとある事は分かり切っている、身近な人間でもいる。
しかし二人がこれから先長い間一緒にいない事はあまり容易には想像できなかった。
「いっつも一緒だったもんね」
二人をよく知る友人は少々苦笑いを浮かべた。
彼より一年早く仕事を始めていた彼女は多少忙しかった。
一年前より慣れた職場で彼女は彼のいなくなった空虚感を埋めようとしていた。
わずかな隙間は友人に連絡する事で埋めた。
それでも数ヶ月経つ頃にはそれすら虚しく感じた。