あなたに恋して4年。
無事パーティーは終わり帰り際
「唯、ちょっとおいで」
凛大に呼ばれて光希の部屋のクローゼットを開く
「誰もいないのに勝手に開けていいの?」
なにかノートをとる
「これ…この一番後ろを見てみな」
言われた通り一番後ろをみた
なに…これ
「これ…受験の時にあいつが書いてたやつだよ」
ノートにはこう書いていた
俺の隣の女の子
ふざけて冗談言ったら本気にしていた
受験どころじゃなかったな
隣がすごい気になってしょうがなかった
合格発表にいるかな、あの女の子
名前なんて言うんだろう
これが一目惚れだ
一番下には相合傘で
光希・唯
その上からグリグリって消していた
「ばかじゃん?あいつ」
「そうだな…あいつも苦しんだよ」
「うん。ありがとね」
凛大と下に下がった
「部屋でなにやってたのー?遅いよう」
しいなが待ちくたびれたみたい
「ごめんね!みんな今日はありがとね!ばいばい!!」
もう、みんなとは会えない
でも、泣かないよ
もう泣かない
「ばいばい」
もう後ろを振り向かない
そう決めたのに…
「唯!」
光希が呼ぶ
でも振り向かない
だって泣いちゃいそうだから
「唯!好きだ」
足が自然に止まった
「好きだよ」
足音が近くなってくる
「私だって好きだよ…」
小声でいった
誰にも聞こえないような…
抱きしめられてようやく聞こえるような声で
でも光希は聞こえていた
だって後ろから抱きしめてたんだもん
「よかった…」
「あと3年なんか待てないよ」
「俺も待てない」
「ずっと一緒にいたいよ…光希と」
「うん」
「でも、こんなわがまま言えないよね」
「そうだな…あっちいっても元気でな」
「うん…光希もみんなと仲良くね」
「当たり前だ。帰ってきてもいいように場所はとっとくから」
笑ながら光希は言う
でも、少し鼻声
きっと苦しんだよね
凛大が言ってたように
光希も苦しんだよね
「うん!とっててね。じゃあ行くね」
光希は手を離してくれた
「後ろは振り向かなくていいよ。そのまままっすぐ前をみて?」
泣いた顔見られたくないのかな…
「うん。ばいばい」
「ばいばい」
振り向かないで言われた通り真っ直ぐ…
真っ直ぐ歩く
ただこれだけのことなのにこんなに辛い
こんな辛いことなの?
でも、後ろは振り向けない
ゆっくりゆっくり歩く
あと少しで曲がり角
曲がった途端力が一気に抜ける
しゃがみこんだ
「好きだよ、光希」
泣き崩れて…
光希のことだけ考えて
「前に進まないと行けないのに」
3年後、必ず会える
その光を目的地にして道を進む
長い長い道
そう思えばいい
私ならできる
もう一度立ち上がり家に帰った