同じ願いで


爽やかな水色の水着に着替えて、スタッフさんの所に向かった。




「萌音ちゃん、似合ってるね~。まだ時間あるから、これ着て待ってて‼︎」




そうスタイリストさんから言われ、渡されたコートを着た。



このコート、あったかいなぁー。



近くのイスに座って待っていると、愛羅さんが来た。



急いでその場で立ってお辞儀をした。



「そんなに堅苦しくしないでいいよ。」



そう言ってくれたから、イスに座った。



「まだ結構時間あるみたいだから、おしゃべりしよう⁇」



子供っぽく笑って、愛羅さんが話し出した。



「私ねぇ~、子供がいるの。」




「え⁉︎」



いきなりの発表に変な声が出てしまった。



「びっくりしすぎだから。その子供達のお父さんはね、殺されちゃったぁ…。」



「殺…され…た…⁇」


殺されちゃった。って…



愛羅さん、大丈夫なの⁇



「私も殺されそうになったの。そしたら、彼が助けてくれた。」



「そんな…」



あまりのことに言葉を失った。



「お腹を刺されたの。それなのに、私をかばって相手をボコボコにしたの。」



とても切なそうに、悲しそうに、愛羅さんは話していた。



「私、そのときモデルをしててバンバン売れてたんだけどね、そのころ妊娠してたの。彼はそれを知ってて、私にだけは生きてほしいからって…」



私はその話を聞いて、思わず泣いてしまった。



「私、刺された直後に救急車呼んだんだけど…陣痛が始まっちゃって…。」



「2人で救急車に運ばれて病院に行ったの。私は無事に双子の女の子を産んだの。」



双子の女の子…


私と天音みたいなんだな。



愛羅さんの子供だったら絶対に可愛い。



「彼は意識不明で、ずっと彼と同じ部屋で入院していた。」



「彼が起きたのは、刺されてから…子供が産まれてから5日後だった。」



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