同じ願いで
私と天音のアルバムを見た後、お母さんたちのアルバムを見た。
若いお母さん。
どれも雑誌のときのような顔をしてない、本当に自然な笑顔だった。
お父さんにキスしているラブラブな写真もある。
喧嘩して、仲直りした後の写真なんかもあった。
そのほとんどはお母さんが写っていた。
お父さんは写真を撮るのが好きだったのかな⁇
そんなことを想像する、些細な幸せ。
私、本当に今、幸せだよ…。
「萌音、見た⁇」
隣から香ったシャンプーのいい匂い。
お母さんが私の隣に座ってきた。
「みたよ。お父さんがいた。」
「いるよ~(笑)」
「ねぇ、お母さん…。」
「んー⁇」
「私たちの名前って、アネモネのはなに由来しているんだよね…⁇」
「そうだよ。」
「なんでそんなに悲しい花に由来してるの⁇儚い恋とか、見捨てられたとか…」
「萌音、違うよ…⁇」
「なにが…⁇だって…」
「それは、あくまでアネモネの花の全般の花言葉。」
聞いて。
そう言ってお母さんはスラスラと花言葉を言いだした。
赤いアネモネの花言葉は、君を愛す。
白いアネモネの花言葉は、真実、期待、希望。
紫のアネモネの花言葉は、あなたを信じて待つ。
「わかった⁇私ね、勘違いしないようにって、赤いアネモネの花を施設に埋めたんだけど、咲かなかったかなぁ…⁇」
赤いアネモネの花…
昔、施設長が言ってたな。
あなたが来てから赤い花が咲くようになった。って
そっか、あれはお母さんが埋めたんだ…。
「じゃあ、そろそろ寝ようか。」
「うん。」
お母さんと寝室に行き、布団を敷いて並んで寝た。
「おやすみ、お母さん。」
「おやすみ。」