同じ願いで


その嫌な予感は的中。



始業式の日から麻衣ちゃんは祐にベッタリ。



私が近づこうとしても、麻衣ちゃんにガードされている。



私が祐の彼女なのに…


まあ、祐は大丈夫。そう思っていた。



次の日から、朝は一緒に登校するものの教室に入るとすぐ麻衣ちゃんにとられる。



それなのに祐は麻衣ちゃんのことを嫌がる仕草もしない。



祐は私よりも麻衣ちゃんの方がいいのかな~⁇



だんだん心配にはなってきたけど、表に出さなかった。



表に出すと麻衣ちゃんに負けた気がするから。



そんな中、今年も担任になった森が私を呼んだ。




なんだろうと思い、森の後を付いていくと目の前に退学届けが置かれた。



「え…なんですか⁇これ。」



「お前がこの学校にいるせいで、お前のファンが学校にくる。それが苦情として沢山の電話がきてるんだ。」



「じゃあ、私は学校を辞めなきゃダメなんですか…⁇」



「そういう事だな。」


「それって、私だけなんですか…⁇」


「あぁ。お前が一番売れている。それに、お前の本当の母親との話題も出てるから、尚更な。」



それを言われたら納得してしまう。



だって、私たちが親子だってことを発表した次の日からニュースはそんなことばかり。



正直、やめてほしかった。



でも、これで人気が出るならいいのかなって思っていた。




いつもは適当な森だからこそ、真剣な目で話されると私も嘘じゃないんだって実感できる。



「…わかりました。」



「ごめんな、近藤。」



「でも先生…。おねがいします。あと、1ヶ月…いや、2週間だけでいいんです。学校にいたらダメですか⁇」



先生はキョトンとしていた。



「お前、そんなに学校が好きなのか⁇」



別に好きってわけじゃないけど…



いきなりわたしの高校生活が幕を閉じるなんて…



それに、まだ麻衣ちゃんのことにケリをつけてない。



そういうわけで私、あと2週間でこの学校を辞めます。

< 132 / 296 >

この作品をシェア

pagetop