同じ願いで
春
【萌音side】
高校入学式の今日。
私、近藤萌音は、この角を曲がったらイケメンとぶつかって、恋に落ちる…みたいな事ないかな〜。なんて思っています。
その期待は虚しく、角を曲がっても誰もいない。
ただ、さっきまで前を歩いていた背の高い、同じ高校の男の子が猫を触っているくらい…。
猫なんて触ってないで、早く学校に行きなよ。
遅刻しちゃうよ?ねぇ、そこの君‼︎
横を通り過ぎるときに心の中でそう叫んだ。
それでも長身の男の子は猫とじゃれあっている。
とても楽しそうに。