同じ願いで
『萌音、気をつけなさいよ』
『はぁ〜い』
萌音…⁇
これは、夢…⁇
って、アレ萌音の母親の声がしたぞ⁇
ウトウトしてた俺は一気に目が覚めた。
ボヤける目をこすりながら、必死に海へと目をやった。
あれは…
萌音の母親か⁇
楽しそうに笑う女の人。
岩には白いワンピースを着た女の人が座っていた。
ワンピースを着てるのは、萌音…⁇
誰かをしっかり確認しないまま、俺は海へと走っていった。
「あっ…祐くん…」
やっぱり。
俺を見て気まずそうな表情をした萌音の母親。
やっぱり…
まだ、遠くの岩に座っている白いワンピースの女は俺の存在に気づいていない。
ゆっくり歩いて岩に向かい、岩の寄りかかった。
「私ねぇ、会いに行こうって思ってたの。」
…萌音⁇
その女はやっぱり萌音だった。
萌音は俺のことを一度も見てないが、俺の存在に気づいたようだった。
「私、会いに行く権利なんかなくて…でもずっと後悔ばかりしてたの…」
正面を向いたまま、泣く萌音の隣にゆっくりと腰掛けた。
「私、ずるいよね…祐に嫌われたくないだけで…こんな…」
それだけを言うと、萌音はそれから何も言葉を発そうとしなかった。
聞こえるのは萌音の嗚咽だけ。
「萌音…ずっと心配だった。探してた…。」
そう言うと、やっと俺の方を向いた萌音。