同じ願いで
高2
【萌音side】
今日から、高校を辞めて本格的にモデルとして仕事する。
なんだか、もう制服を着てみんなと遊ぶことはないんだって思ってはいるけど実感がわかない。
祐と、会える時間も少なくなるのかな…。
はぁ…
自然とため息がこぼれる。
ダメダメ。
ため息をつくと、幸せが逃げるって言うしね。
周りの空気を吸い込んで、私は気合を入れた。
「よしっ。よろしくおねがいしま〜す」
スタジオに入って写真を撮った。
今日は、夏祭りっていうテーマで浴衣を着ている。
水色と紫色の紫陽花がのった、大人っぽい浴衣。
今日1日はずっと浴衣を着ていなければならない。
夜まで、浴衣かぁ〜。
ちょっと疲れそうだね。
そして、夜になって可愛らしい白とピンクの浴衣に着替えて手持ち花火をした。
花火なんて、いつぶりだろう⁇
今年は祐と花火大会いけるかな⁇
そんなことを考えながらも撮影は順調に進んでいった。
「それじゃあ、萌音ちゃんお疲れ〜」
長い浴衣での撮影が終わり、私はダル着に着替えた。
「萌音、今日のはよかったよ。花火したの、久しぶりだった⁇」
カメラマンの杉ちゃんに話しかけられた。
杉ちゃんは、お母さんの三つ子の弟ということで、この世界では一番信用できる人かもしれない。
「花火、中学生以来かな。久しぶりで楽しかったよ♪」
「お前、ほんっとに笑った顔が智也そっくりだな。」
智也⁇
あぁ、お父さんのことか。
「お父さんと仲よかったの⁇」
「俺と智也が仲よかったから姉貴に相談ばっかりされてたよ」
ん⁇
若干、会話が噛み合ってない気がするけど とりあえずは仲がよかったんだよね。