同じ願いで


「私がね、萌音たちを産む時…萌音みたいに病気にはならなかったわ。」





普通はそうだよね。





私が弱いせいだよ…。



でも、お母さんはそれで何が言いたいの⁉︎




「私が悪いっていうこと⁉︎」




こんなこと…言いたいわけじゃない。




八つ当たりなんかしたくない…




なのに…




こんな感情的になってる私はまだまだ未熟だね。




まだ、17歳の子供なんだよ…




私、こんなんで大丈夫なのかな…




「違うよ、萌音。病気にはならなかったけど、智也が狙われてたから眠れない夜を過ごした事もあったの。」





お父さんが、狙われてたって…


それは…、殺し屋から⁇




お母さんも狙われてたんだよね。




「それでも、この子は私と智也の子供だから大丈夫 って、そう信じていた。」




信じたらいいってこと…⁇




「信じれば願いは叶うって事じゃないの。私は、そうやって信じることで落ち着けたの。精神安定剤みたいなものよ」





「精神…安定剤…」




「そう。萌音も、今は自由なんだから 自分の好きなことをしていいんだよ⁇そんなに自分を追い詰めないで⁇」





わたしの隣に座って、背中をトントンと一定のリズムで叩いてくれるお母さん。




「私の好きなこと…」





一番の楽しみは、祐を見てる時。




雑誌にも出てるし、最近ではテレビも出るくらい売れている。





祐を見ていると、悲しかったり寂しかったりすることもある。





それでも、笑う祐を見ればこれが正解だったんだって思えるから少しは気が楽になる。





それが…私の精神安定剤なのかな⁇

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