同じ願いで



祐の出てる番組も終わり、本当に暇になってきた。





あ、そう言えば陣痛きたら眠れないんだよね。






今のうちに寝とこうかな⁇






布団に潜って目を瞑ると、眠気はすぐにやってきて私は寝た。




起きると、一時間くらいしか寝ていなかったけど気分は良かった。







「…っ⁉︎」




痛い…




なにこれ、陣痛…⁈




痛すぎて声が出ない。




どうしよう…





痛いよ…




こんなに痛いの…⁇





痛みは少しして収まった。





ナースコールを押すと、すぐに看護婦さんが来てくれた。





「どうした⁇」




「いま…ちょっと、いたくなりましたっ…」




少し息切れしながら言うと、看護婦さんは少しして病室から出て行った。





なんだか、基本放置なのかな〜




そう思っていると、なにか水が流れる感覚がした。





まさか…破水…⁇





その瞬間、さっきよりも強い痛みが襲ってきた。





「痛いよ…っ」





必死の思いで声を出したものの、当たり前のように誰もこない。





またナースコールを押すと、さっきの看護婦さんがやってきた。





痛がる私を見て、少しでも楽になるようにと腰を押したりしてくれた。






「もう、お母さん呼んだからね」




そう微笑んで言う看護婦さん。




微笑んでるけど、私はそんなに余裕はないんだよね…





「はぁ…っ…はぁっ…」




痛みも収まったので呼吸を整えた。





「萌音⁉︎大丈夫⁉︎」




ドアの方を見ると、そこにはとても心配そうな顔をしたお母さんが立っていた。






「お母さんこそ、そんなに息切らして大丈夫なの⁇」





妊婦の私が心配するほど、お母さんは息切れしていた。




でも、そんなになるまで私を心配してくれたんだよね。





なんだか泣きそうになった。





「あと…どれくらいですか⁇」





そんな私たちを見てニコニコしてる看護婦さんに、お母さんはたずねた。





「あと…2時間か3時間くらいですね」





あと…




2時間か3時間⁉︎





なんだかこの痛みがそんなに続くのは辛いと思ったけど、出産にしては早い方だよね。






っていうか、早すぎない⁇




大丈夫かな…





「いった〜‼︎」




いきなり大声をあげた私にびっくりするお母さん。





なんだか、色々とごめんね…




私が気使ってしまうよ…。





っていうか、それよりも痛い。




「痛いよ〜…」




だんだんメンタルが壊れていく私。




そんな私を必死に励ましてくれているのか、看護婦さんが何か言ってる。





でも…何も聞こえません。




っていうか、何も頭に入ってきません…。

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