同じ願いで



祐がふと顔をあげた。





「…え…⁇」






祐はこっちを見て驚いたような顔をしている。





私…見つかった…⁇





私がいるって、ばれた…⁇





お互い、目がそらせずにいたのか祐のマネージャーが急かすまで見つめあっていた。





時間は短かったけど、私には周りの音も何も聞こえなくなって、二人だけの空間にいるようだった。







祐がマネージャーに急かされて、私はハッとしてその場から逃げた。





私…




祐に迷惑かけないように、祐の目の前から消えたのに…





自分から見つかるなんて、本当バカだよ…




でも、大丈夫。




祐はもう東京に帰るから。




もしかしたら向こうで新しい彼女が出来たかもしれない。





今更私が現れてもなんとも思わないなんてこと、普通にあり得るよね。




大丈夫。大丈夫。






私は呼吸を整えて飛行機が見れるところまでやってきた。






あの飛行機に、祐が乗ってるんだよね。






飛行機が離陸して、見えなくなるまでずっとそこにいた。






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