同じ願いで



次の日になっても、現れなかった。






チャンスはあと1回。





この夜を逃したら、もう明日の朝には帰ってしまう。







この夜もいつも通り、海にやってきた。





私が咲華、お母さんが舞音を抱えて、並んで歩いてる。





側から見たら、友達とその子供たちっていう風に見えるんだろうね。






ふと、ホテルの方に目をやると、祐みたいなシルエットの人がクルリと後ろを向いて奥へと歩き出した。





「祐…⁇」





私は信じられず、お母さんに聞いてみた。





「祐がいた…⁇」





「あれ、本当に祐くんなの…⁇そんな…」





そう言ってお母さんは、バツの悪そうな顔をした。





「帰る…⁇」




心配そうな顔をして覗き込んでくるお母さん。





私がこのままチャンスを逃すと、ずっとお母さんたちに迷惑をかけてしまう…






もう、覚悟を決めなきゃ…





私は咲華をお母さんに預けて、ホテルの方に歩いた。





でも、私のホテルにまで向かう足取りは重たい 。





その間に、祐はどこかへ行ってしまった。





楽しそうに遊ぶ三人の元に戻ると、私は母親として接しないとダメなんだ。





"乙女の顔"をみせたらダメなの…





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