同じ願いで



「祐くん…」





後ろでお母さんが、小さな声でそんなことを言っているような気がした。






祐に…とうとう見つかった…⁇





足音が聞こえる。





「…っ…はぁっ…」





後ろで息を切らした祐がいる。





どんな顔をすればいいの…⁇





祐は…私に何を言うの…⁇






でも、これだけは言わせて…⁇





「私ねぇ…何度も会いに行こうと思ってたの…」






声が震えてるの、わかっちゃったかな⁇





今、瞬きをしたら涙が溢れるから、私はずっと海の向こうを見ていた。






でもそんな事したって意味なくて、瞬きなんかしなくても涙は私の頬を伝っていった。





でも、ちゃんと伝えなきゃ…




「私、会いに行く権利なんかなくて…でもずっと後悔ばかりしてた…」






すると、祐が私の隣に腰掛けた。





でも、私は祐の方を見れない…





なんでだろう…




こんなにも近くにいるのに、まだ心は遠いままな気がする。






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