同じ願いで


祐が病院に電話して、私は痛みがおさまった時にベッドから起き上がって寝室から出た。






「あ、萌音っ…大丈夫!?」





リビングに入ると、天音が心配して駆けつけてくれて肩を貸してくれた。






必死の思いで車に乗り、祐が運転する中、私は後部座席で必死に痛みに耐えた。






病院につくと、すぐに分娩室に運ばれた。





お産は3回目だから、意外と早かったのかもしれない。





「はい、吸って〜吐いて〜」




助産師さんの掛け声に合わせて呼吸をする。






痛い なんて、弱音を吐いたらダメ。





だから私は、弱音を吐かずに必死に助産師さんの言うとおりにした。






でも、3回目でもさすがに痛いよ…





「まだいきまないでねー」





この、鬼の言葉。





いきみたいのに、ダメなんて…




先生、鬼だよ絶対に。





立ち会い出産なんか希望してないのに、祐はずっと隣にいて手を握ってくれている。





私はその祐の手を握って必死に我慢する。






ねぇ、今何分なの?





あと、何分で生まれるの?





痛いよ…




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