同じ願いで


「じゃ、いきんでいいよ〜」





やっと言われたこの言葉。





どれだけ待っていたか…





そう言われて私はすぐにいきんだ。






「はい、さすがね。上手よ〜」





そんな褒め言葉、いらないからっ…





「〜っ……ったぁ…」





思わず本音が出たけど、もうそんなことどうでもいい。





「っ…いっ……」






本当に、声にならないくらい痛い…





祐がなんか言ってるみたいだけど、聞こえない。






「頭、もう少しで出るよ〜」





どこかで作業していた助産師さんが私の足の間を見て、そう言った。




っていうか、見えてきたんじゃなくて、もう出てくるの?




あと少しで、会えるっ…





そう思ったら、一段とやる気が出た。

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