同じ願いで
トイレから出て、外の手洗い場で顔を洗った。
ん~、冷たくて気持ちいいっ
よし、泣き顔ってばれないかな⁇
鏡で念入りにチェックして最後にニコッと笑った。
大丈夫。いつも通りの私だ。
切り替えて、祐のところに戻ろう。
そう意気込んで後ろを振り返ったら、祐が壁になんかかって腕を組んでいた。
「…お前、さっきから何してんの⁇」
少し笑いをこらえながら私に聞いてきた。
「何って…。あ‼︎暑いから顔を洗ってただけだよ。」
「…ふーん。今まで泣いてたくせに⁇」
「え…⁇泣いてなんか…ないよ⁇」
私、完璧に動揺してるじゃん。
これじゃあ、今まで泣いてましたって言ってるようなもんだよ…
「ウソつき。トイレから出て、この水道に来るまで、めっちゃ泣き顔だったけど。」
うそ…
見られて…たんだ。
「気にしないでいいよっ。」
精一杯の強がり。
ほんとは祐が好きだから。
少しでも心配されたくて…
それでも私は亜子を応援するって決めたから、この想いを伝えることはできないんだよね…
それでも私は少しでも期待していた。
もしかしたら心配してくれるんじゃないかって…
でも、私の期待は儚く散った。
「そう。振り返りのやつ俺が書いとくから。頑張れよ。」
…やっぱり
心配はしてくれないんだね…
そうだよ。私は所詮、クラスの女の子。
恋愛対象なんかに入っていないの。
亜子の…彼女の友達。ってくらいなのかな。