同じ願いで


着いたのは、屋上。




ついさっきまで慎也といた場所。



なのにかんじかたが違うのはなんでだろう…




ドアの前で動かない私。


それに気づかないで祐はスタスタと歩いていく。



フェンスに寄りかかり、自分の足元を指差した。



ここに来いってことかな…



おそるおそるそこに行くと、祐は私と目を合わせないまま喋り出した。



「潤は、ほんとお節介すぎるやつ。」



「そうなんだ…」



それしか言えない。


心臓がドキドキしすぎて破裂しそう。


私もフェンスに寄りかかった。



祐はフェンスにお腹をつけた状態で、私はフェンスに背中をつけた状態になった。



こんなに近くにいるのに、見てる景色は全く違うんだね。



何を話していいのかわからず、お互い沈黙を破ろうとしない。



あ、亜子と付き合ってること、おめでとうって言わなきゃね…



「祐っ…亜子と付き合ってるんだよね⁇おめでとう…」



ほんとにおめでとうって思ってるのかって疑いたくなるような言い方になってしまった。



はぁ~、何してるんだろ、私。



「…は⁇」



「えっ⁇」



聞こえた返事は、びっくりしたような声だった。



思わず私も聞き返してしまったけど…
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