同じ願いで


…モミモミ…



すると、太ももに気持ち悪い感触がした。



気のせいだと信じて、触られた場所を見ると明らかに痴漢だった。



その犯人は、さっきの酔っ払ったおじさん。



視線は祐の後ろでさっきキスをしていたカップル。



もう、最悪~…



私たちが降りる駅まではあと5駅も待たなければいけない。




こんなに人がいるのに静かすぎる車内。



祐にぎゅーっと抱きついて、少しでも男の人と距離を遠ざけようとした。



それも虚しく、男の人は私と距離を近づけてきた。



いやだ…



ほんとに気持ち悪い…




「祐~っ…」




耐えきれなくなって、祐に助けを求めた。




「ん⁇」



優しい笑顔を向けられた。



私は自分の太ももに視線をやって、その後また祐を見て知らせた。



すると、祐の顔色がどんどん変わって、すごく険しい顔になった。


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