同じ願いで
「ジジイ、何してくれてんの⁇痴漢⁇」
そういって、男の人の手をつかんだ。
祐、ジジイって…
その人、まだ30代だよ、きっと。
車内が静かすぎたため、祐の声は周りにもはっきりと聞こえてる。
男の人はとても気まずそうな顔をしたが、何も言おうとしない。
すると、男の人は顔が真っ青になり、いきなり下を向いて吐いた。
「うっ…」
その男の人は本当に酔っ払っていたんだろう。
車内にはにおいが充満していて、とてもこのまま車内にいれる状態ではなかった。
だいいち、私の靴下や靴が汚れてしまった。
痴漢されるわ、靴下と靴は汚れるわで今日はほんと、ついてないなぁ…
それから駅で止まった電車からはたくさんの人が降りていった。
もちろん、私と祐も降りた。
「祐~、汚れた…」
「知ってる。」
祐に言うと、スタスタと歩き出した。
手を引っ張られながら歩いて、着いたのは靴屋さん。
ではなく、誰かの家。
「誰の家⁇」
そう聞くも、祐は前を向いたまま。
-ピンポーン
チャイムをならすと、とても綺麗な女の人が出てきた。
「久しぶりね~、祐。」
「ただいま。」
「彼女~⁇かわいいね。こんばんは~。」
「あっ、こんばんは。」
その女の人は私を見てにっこりと微笑んでくれた。
30代くらいかな~。めちゃくちゃ若い‼︎
「ここ、俺の実家。」
そう言った祐は、一人暮らししてるんだった。
「綺麗なお姉さんですね。」
つい、思った事が口に出てしまった。
「あら私、祐の母よ。お姉さんだって‼︎嬉しい~‼︎」
「えっ、お母さんだったんですか⁉︎すみません…」
「いいのよ~。さっ、上がって‼︎」
そして、流れで家に上がらせてもらった。
「おじゃましま~す…」
結構、緊張するよね…
まず先に、お風呂場を借りた。
そこで、足を洗わせてもらった。