同じ願いで
足を洗い、祐につれられリビングに行くと、そこには広い部屋とたくさんのご飯が並べられていた。
「あ、きたきた。ご飯、食べていってね。」
そう言われ遠慮したものの、結局お母さんの強引さに負けていただくことになった。
一口食べると、懐かしい家庭の味がした。
"家庭の味"なんて言ってるけど、本当は実の親のご飯を食べたことがない。
小さい頃から施設に入れられ、里親に引き取られた私。
実の親の事はまったく知らない。
ただ、名前だけは最初から決まっていたらしい。
親からの、最初で最後のプレゼント。
そんな、親からの愛情を受けてない私でもわかる、家庭の味。
おいしすぎて、涙があふれそうになった。
溢れそうになった涙は堪えることもできず、私の頰を流れていった。
「どうしたの⁉︎」
お母さんがびっくりして私の背中を撫でてくれた。
「口に合わなかったらごめんね⁇無理して食べなくていいからね⁇」
そう心配してくれるお母さんだけど、私は首を横に振った。
「私…小さい頃から親がいなかったから、こういうのっていいなって思ったんです。」
私の過去を聞いて、お母さんは辛かったね と言いながら、ずっと背中をさすってくれていた。
それから私の涙も止まり、またご飯を食べ始めた。
「今日は泊まって行ってね‼︎」
いきなりの事で戸惑ったが、そう言うお母さんに甘えて、私はお泊まりすることになった。