同じ願いで
ここでもラブラブな亜子たちに別れを告げて、私たちは駅にむかった。
やっぱり、亜子たちと同じくらいラブラブなんじゃないかな…
でも抱き寄せられたままだと本当に歩きづらかったから、手を繋ぐことにした。
「ねぇ‼︎ちょっと。」
横から大きな声を出して走ってくる、とても仕事ができそうな人。
誰に言ってるんだろう、と思いながらも私と祐は無視をして歩き続けた。
「ちょっと、待って‼︎」
そういい、さっきの人は私たちの前に立ちふさがった。
「あ、私たちですか⁇」
「そう…よ。」
少し息切れしながら急いで名刺を取り出した。
「私、こういう者なんだけど、2人ともモデルに興味ないかしら⁇」
「モデル…ですか⁇」
「そうよ。あなたは容姿抜群、肌も綺麗だし絶対売れるわ。」
私を指差してそう言った。
容姿抜群…
ないない。
「そして、あなたも容姿抜群。顔も女の子好みだから絶対売れるわね。」
次は、祐の事を指差してそう言った。
納得。
祐はほんとかっこいいもん。
私の自慢の彼氏だしね。
「ってことで、気が向いたら電話してね‼︎」
そう言って足早に去っていった。
なんだか、風のような人だな~。
それが印象に残った。
「モデルだってよ、祐…」
祐もポカーンとしていて、信じられないみたい。
「萌音もだろ…っ」
「祐はモデルするの⁇」
モデルになったら、絶対人気が出ると思う。
でもその分、ファンは増えるわけだし、会う時間も少なくなる。
私だけの祐にしたいとは思うものの、それはできないよね。
「オレ、興味ないんだけど。」
「でも、そーゆー風に言われるのって滅多にないことだよ⁇やってみたら⁇」
なんて言うけど、私もそうだよね。
私もモデルなんて興味なし、正直 別世界の話かと思っていた。
「萌音はやりたいわけ⁇」
「実は、私も興味ない。」
なんて言って アハって笑った。
「なんだそれ。」
そんな私を見て祐も笑顔になった。
「まあ、萌音はやりたくなったらやればいいから。」
私、モデルやりたいなんて思うことくるのかな~⁇
基本的に、普通の暮らしがしたい私。
今までが普通じゃなかったからね。
もう、過去のことを思うのはやめよう。
いつまでも引きずっていても、きりがないしね。