同じ願いで
「私、天音って言います。神谷天音。あまねって呼んでね⁇」
「うん。私は近藤萌音。萌音って呼んでね。」
「うん!それと、敬語はやめてね⁇」
「わかった。」
なんだか、天音の隣は落ち着いた。
昔、どっかであったことがあるのかなー⁇
でも天音 なんて名前、聞いたことないし…
近くのカフェに着いて、席に座った。
私は何も飲む気がしなかったのでシュークリームだけを頼んだ。
天音は、お腹すいた~ なんて言いながらパンケーキを頼んでいた。
「それで、天音はどうしたの⁇」
「ん~…」
ちょっと考えこむような仕草をした。
少しの沈黙。
なのにこんなにも緊張するのはなんでだろう⁇
「変なこと聞くけど…。萌音はさ…小さい頃、施設かなんかに入ってた⁇」
いきなり私の過去の話をされて、びっくりした。
あぁ、天音は施設にいたときの友達なのかな⁇
「いたよ~。天音、もしかして"すこやか園"だった⁇」
すこやか園とは、私が小さい頃にそだった施設の名前。
でもそれを聞いて、天音は首を横に振った。
「私、実は、その近くにある"ふたば学院"にいたの。」
ふたば学院は、私たちすこやか園とは徒歩10分くらいの距離にある。
特に関わりはなかったが、名前はよく知っていた。
「そっか…やっぱり萌音が…。」
なんて意味わからないことを言い出した。
「萌音、よく聞いて⁇びっくりしないでね⁇」
なんだろう思いつつも、私は頷いた。
怖かった。
天音が言葉を言うまでの時間は、とても長く感じた。