春色シルエット
「な、なんでもない。別になんだっていいだろ」
「顔、なんか赤いけど、もしかして風邪?」
「うううう、うるさいなっ。俺のことはいいから、さっきの質問!」
「質問?」
首を傾げたところで、ようやく郁人の視線が私に戻ってくる。
「生徒会も終わったなら、こんなトコで何してたんだよ」
「特に何も。ただ、ここが好きなんだ」
高校に入ってから度々訪れるこの屋上は、景色もいいし、聞こえてくる生徒の声や街の音がどこか心地いい。
ましてやこの天気の良さ。
……あ、そうだ。
「ねぇ、さっき思い出しんただけどさ、影送りやろうよ」
私の誘いに、今度は郁人が首を傾げた。