春色シルエット
「影送り?」
「小さい頃にやったでしょ? 覚えてない?」
「覚えてるけど……なんでやらなきゃならないのかわからないんだけど」
「それはね、ここに絶好の青空があるからだよ」
「はあ?」
呆れてるのか面倒なのか。
郁人の眉間に僅かにシワが寄った。
私はそんな郁人に構わず郁人の横に並んで立つ。
「はーい、じゃあ小さい頃に戻ったつもりで……」
──と、昔の私たちを再現してみようと考えたけのだけど。
「えっと……手、繋ぐ?」
いくら幼なじみで親しいからといって、昔のように自然と繋ぐには気恥ずかしくて。
だから確かめるように問いかけると。
「なっ……べ、別に繋ぐ必要ないじゃん」
郁人は面食らったように耳まで真っ赤にして拒否した。