春色シルエット
「そ、そうだよね。何もそこまで昔の再現しなくてもいいよね」
アハハと笑い足元に視線を落とす。
どうしてか、拒否されたことが少し寂しくて、悲しくて……痛くて。
私はそれをごまかすように、元気な声を出した。
「それじゃ、10数えるね」
郁人は何も答えなかったけど、私と同じく足元から伸びる影を見つめる。
「いーち、にーい」
じっと見つめる二つの影。
「さーん、しーい」
無邪気だったあの頃は私の方が少し高かった背丈が……
「ごーお、ろーく」
今では、頭ひとつ分、郁人の方が高くなっている。