春色シルエット
「なーな、はーち」
さっき感じた感情が、どこからくるものなのかわからないまま……
「きゅーう、じゅうっ」
私たちは、どこまでも広がる青空に、二人の影を送った。
それは、当然だけど昔とは違う大きさで。
手も繋がれず、無邪気さもなく、ただ、懐かしさと少しの寂しさだけがあった。
「……郁人、身長伸びたね」
「まあね」
まだ、ぼんやりと空に浮かぶシルエットを眺めながら会話する私たち。
「昔は私の方が高かったのに」
「昔の話だし」
「男の子なんだね」
「……まあね」
「ちょっと寂しいなぁ」
思わずこぼれ落ちた本音に、郁人が私を見る気配がした。