愛結の隣に悠ちゃん
一章:一つ目の神社
「ゆーちゃん!!おーきてっ!!」
午前8時。
カーテンの隙間からは日が射し込み、すずめが優雅に鳴きく、そんな中で静かに眠る悠人。
ドタドタと騒がしく階段を上る音が起きそうになっている悠人の耳に届く。
自分の部屋があるにも関わらず悠人は物置で眠っている。
いつものように悠人を叩き起こしに来たのは愛結。
愛結は幼い頃に両親を亡くしており、悠人の両親が裕福な家庭な上に愛結の両親と仲が良かったため、愛結を引き取ったのだ。
愛結もこの事を知っている。
「ゆーちゃんっ、今日はね神社行くんだよっ、一緒に5つの神社に行ってお願い事しに行くんだよっ」
「分かった分かった、行くから落ち着けって……」
愛結を苦笑いしながら落ち着かせる悠人。
愛結は学校では孤立している。
そのため、幼い頃から一緒にいる悠人のことが大好きで一番信頼している。
「早く早くっ」
愛結が悠人の手をぶらぶらと動かす。
その行動に悠人が笑みを溢す。
「待てって、愛結が手を握ってたら俺が着替えられなくて行けないだろ?」
「あ、そっか……ほらほらっ、悠ちゃんの手、離したよっ」
一瞬にし手を離し、どことなくすぐに離ししまった愛結に苦笑いをこぼしつつもくしゃりと笑う愛結の頭を優しく撫でて布団のそばにある服を着用する。
「あー、愛結。ちょっとあっち向いてて」
「はぁい」
愛結が元気よく返事をして悠人に背を向ける。
その間に悠人が着替えを終える。
「さ、行くか」