愛結の隣に悠ちゃん
-休み時間
「愛結……頑張ったなっ」
「ふぇっ……ふぇえっ……」
休み時間のたび、愛結と悠人しかいない屋上。
悠人の優しい声を聞けば愛結は泣き出してしまう。
「愛結……今日、放課後に行こう。神社へ……学校の近くにあるそうだ」
「うんっ……うんっ」
涙を流して手で何度も顔を擦りながらこくんと頷く。
「愛結は良い子だもんな、神様はきっと愛結の願いを聞いてくれるし叶えてくれる」
優しく愛結の背中を擦りながら悠人が言う。
「愛結、今日もいっぱい頑張ったな、今日は愛結の好きな飴を持ってきた。ほら、いっぱい食べて良いんだからな」
悠人がコンビニの袋から愛結の好きなイチゴミルクの飴を袋ごと見せる。
「……」
しかし、愛結は首を横に降り受け取ろうとはしない。
悠人がきょとんとする。
「愛結ね、大人にならなきゃだもんっ……頑張るときに頑張らないとっ」
「愛結……」
愛結の言葉を聞けば悠人が優しく愛結を抱き締める。
「俺といるときはそんな頑張るなっ…愛結、弱音はいたっていいんだ、愛結はたしかにしゃべり方とか幼いって言う奴いるけど、愛結は他の奴等とは全然違う大人だろっ……」
トクン。
悠人の言葉になぜか胸が高鳴った。
その理由は愛結にはまだわからなかった……。
「ほら、貰っとけ。俺、甘いの食べないし」
一粒、無理やり愛結の口のなかに押し込む。
愛結の口のなかには大好きな甘い甘いイチゴミルクの飴の風味が広がり一瞬にして嬉しそうな表情になり満足感で満ちていた。
そして、悠人は愛結の中で大切で大好きな人だと再確認をした。
胸の高鳴りがまたした。
しかし、先程のような高鳴りではなく安心感が芽生えてくる高鳴りだった……。