愛結の隣に悠ちゃん
三章:二つ目の神社
放課後になり、悠人は補習があるからということで愛結との待ち合わせは近くのコンビニにした。
悠人の姿が見えたのは午後6時になってからだ。
「悠ちゃん、お疲れさまっ」
ふにゃりと悠人を癒す可愛らしい笑みを浮かべて愛結が言う。
「あんがとな。じゃ、行くか」
「へっ……でも、パパやママに何も言ってない……」
「……大丈夫、俺がいるし」
愛結の手を優しく握り学校の近くにある神社に寄る。
「悠ちゃんっ……薄暗いしっ……怖いっ……」
愛結が一層強く悠人の手を握る。
悠人は愛結の頭を空いている手で撫でる。
「大丈夫……大丈夫だから……」
悠人がいくら言っても愛結の内心には怖いということしかない。
「あーもう、やかましいやかましい。ちっ、リア充かよ……何事です」
愛結が嫌々と首を横に振っていればまた、最初の神社で見たような神秘的な光に包まれた桃色を基調とした着物を着た20代後半か30代くらいの女の人が現れた。
「わ、神様……?」
「おや、そなた……私が見えるのですか、珍しい……」
愛結がぱちぱちと瞬きをし、神が物珍しいものを見る目で愛結を見つめる。
そして、次に悠人を見る。
「おや……そなたはどこかで……まあ、良い……それより、何ですか閑散としている神聖な場所で騒がしい」
確かに神が言うように周りはとても静かである。
申し訳なさそうに愛結が肩をすくめてしゅんとする。
「あのねっ、五つの神社にいったら願い事を聞いてくれるっていうのがこの町にあってね、それを聞いてもらいたくて来たのっ」
愛結が疑問を抱えている神にたいして答える。
神は何度か頷き納得した表情になりにこりと微笑んで見せる。しかし、それは一瞬であった。