愛結の隣に悠ちゃん
神様のお願い事
「……そんなに世の中甘いと思うでない。勿論、条件はあるのじゃ」
急に悪い顔になる神。
「おいこら、そんなんで神って言うのかよ、ばばあ」
「ばっ……失礼じゃ!!」
悠人が言えば眉間にシワを寄せて髪を逆立たせる神。
そんな様子に怯むことなく悠人は神を睨むように見る。
「わわっ……悠ちゃん、ダメだよっ……神様、神様っ……条件はなに……?」
きょとんとして愛結が神に尋ねる。
「ふふっ……そなたは素直で良い子じゃなあ……しかし、なんじゃその口は!!私は神じゃ、神に向かって失礼ではないか!!敬語を遣うのじゃっ」
「ちっ……」
神が愛結に一瞬また柔らかな笑みを浮かべたと思えばすぐに厳しい表情になり愛結に懐から取り出した扇子で愛結を指す。
その言葉に愛結が目に涙をためる。
「おいこら、ばばあ……」
愛結の泣きそうな顔を見れば愛結の前に悠人が立ちはだかる。
愛結が意地悪された時はいつも悠人が愛結をかばうのはいまでも変わらない。
「ばばあでないと言うておろう!!」
悠人の言葉にまた眉間にシワを寄せる。
悠人と神の間に火花が散る。そして神の周りの物が徐々に浮き始める。
「神様っ……ごめんなさいっ……悠ちゃんはねっ、普段すっごく優しいのっ……だからっ、許してくださいっ……」
普段からアニメや漫画を見ている愛結は浮いた物が悠人に向かって飛んでくるものばかりだと思って慌てて神に頭を下げた。
その様子を見れば神は先程まで逆立たせていた髪を元通りにして柔らかな笑みを向ける。
「ふふっ、そなたはやはり素直じゃのう……特別、そなたの素直さに免じて条件を言おう」
愛結の頭を撫でながら神が言う。
その言葉に満足そうにする愛結を見て同じように笑う悠人。