愛結の隣に悠ちゃん
「そなたへの依頼はな…三つ目の神社に当たる……あのバカをどうにかしてほしいのじゃ!!」
神が懐から写真を取り出して愛結と悠人に見せる。
写真に映るのは長い緑色の髪を1つに結ったきれいな顔立ちをした青を基調とした着物を着た女の人だ。
「きぃぃぃぃぃいっ、見とれるでない!!」
神の言葉通り見とれていれば二人の目の前から写真は奪い取られる。
「あの男は……私より年をとっていて、性別も男だというのにどうして美しいのだ!!私にはそれが許せないのだ!!」
神が懐から取り出したハンカチを噛みながら言う。
前言撤回、男の人のようだ。
……行動が古い。
「神同士の会議でもあやつがいたらっ……男共はみーんなっ、あやつを見るのじゃ!!」
妬むように言う彼女の発言に愛結は同情し、悠人は顎に手を当てて考える。
「へぇ……神様同士なんのお話するんですか?」
きょとんと首を傾げて神を見つめる愛結。
「んー、それは色々じゃ。神にも話し合いは必要じゃ」
着物の袖を口元に当てて上品に笑う。
「んー、じゃあ三つ目の神社の神様とお話ししてくればいいんですねっ」
ふにゃりと緩い笑みを浮かべて言い神の了承を得る。
「よーしっ、次も頑張ろうねっ。悠ちゃん!!」
悠人の方を向いて意気込みを口にすれば、悠人はいつものように優しい表情をして愛結の頭を優しく撫でる。
愛結にはとびっきり甘いのが悠人である。
「神様っ、少し待っててくださいっ」
神の方を向いて手を降り悠人の手を握れば、今になって時間を気にする。
家に帰れば、母や父にはかなり心配されていた。
これまで、一度も両親に逆らったことも反抗したことも約束ごとを破ったこともなかったからだ。
家に帰れば母は涙ぐんでいて愛結を優しく抱き締めていた。