愛結の隣に悠ちゃん
時は流れ、小学五年生になった。
愛結は意地悪されることはなくなった。しかし、悠人とも話すことはなくなったいた。
理由は、愛結と悠人は名字が違うが一緒の家に住んでいて毎日一緒に帰っていて毎日仲良く帰っているからだ。皆、ありもしない悠人と愛結が付き合っているなどと噂を流したのだ。
そこから自然と悠人が愛結から離れたために、友達はいなかった。
クラスから孤立した存在となっていたのだ。
「悠人くーん、一緒にかーえろ」
「うんっ、かえろーよー」
悠人は特別女の子にもてたいた。
そのため、愛結は毎日一人で帰ろうとしていた。
「ダメだって、愛結と帰んなきゃだし方向逆だろ」
例えどんなクラスの美人な子や一番人気のある女の子に誘われても悠人は必ず愛結を選んだ。
「ほら、帰るよ」
ランドセルを背負い、悠人が愛結にぶっきらぼうに言う。
愛結は行きと帰りだけは悠人のとなりにいられるということで、張り切って学校に来ていた。
元々、勉強は大嫌いで悠人はクラスで一番か二番目に頭が良い。
家では普通に話せる。
「……」
帰り道、二人には会話はない。
小学五年生になってから周りから冷やかされるようになってしまい、悠人の服を掴んで帰るのはやめてしまった。
「あ、猫ちゃんだっ」
愛結がそう言いながら悠人の前へ駆け出してしまった。
同時にクラクションが鳴り響く。
十字路の路地を出たすぐそこには大型トラックが走っていたのだ。あと数十メートルで愛結とトラックが衝突してしまう。
「愛結っ!!」
悠人の声が耳に届いたが、振り向くことなどできず目をつむり唇を噛み締めた。
バイバイ、悠ちゃん……と、心のなかで小さく呟いた。