愛結の隣に悠ちゃん
五章:三つ目の神社
次の日以降、愛結は両親とあまり話さなくなった。
悠人とは変わらず話している。
神社巡りもあの日以来いっていない。
長期休みである仮卒業の時に行き、その時に神社を巡ろうとしているのである。
そして、時を経て明日仮卒業の日となる。
赤点ギリギリの点数ばかりとっていた愛結に必死に勉強を教えた悠人。
「明日はね、三つ目の神社に行って神様の願いを聞いて愛結と悠ちゃんの願いを聞いてもらおうねっ」
「あぁ……」
まだ、愛結は悠人がこの世にいないということを受け入れていない。
自分といるのだから、話しているから、触れることができるから。
「悠ちゃんっ……」
不意に悠人にぎゅっと抱きつく。
その大胆な行動に驚くもののすぐ受け入れてふにゃりと揺るい笑みを浮かべる。
「ん、愛結どした?」
抱き返すことはないが優しく愛結の頭を撫でる。
悠人の眼差しはとても優しい。
「悠ちゃんは……ずっと私のそばにいてくれるもんねっ……ずっと一緒だもんねっ……」
愛結が不安そうな声で悠人に尋ねれば、悠人はくすりと笑う。
「勿論、ずっと愛結のそばにいただろ?それはいつまでもずーっと変わらない」
優しい表情を崩すことなく悠人が告げる。
その言葉に安心しきればずっと忘れていた眠気に襲われてまぶたをゆっくりとおろす。
「おやすみ、愛結……」
優しく悠人が愛結に告げればそっと額に口付けをして愛結を抱き抱える。所謂お姫様だっこだ。愛結をぬいぐるみに囲まれたベッドに運ぶと今度は頬に口づけをした。
白い肌、長いまつげ、小さな身体、悠人にとっては全てが愛しくて仕方ないものであった。
次の瞬間、悠人の体はすぅっと光に包まれて消えた。