愛結の隣に悠ちゃん
神様の知っていること
三つ目の神社は家から徒歩で15分のところにある。。
その神社は今までの中で一番小さい神社。
一つ目や二つ目の神社のように神様が出てくるわけではないので、とりあえず神社の中に入って二人で周囲をぶらりと歩く。
「悠ちゃんっ、なんだかデートみたいだねっ」
愛結が何気なく笑いながらへらりと言えば悠人の顔がみるみるうちに真っ赤になってくる。
「ばっ……おまっ」
慌てて手を離して口許を服の袖で隠す。
しかし、耳まで真っ赤なのな変わらない。
「悠ちゃん?」
愛結には恥ずかしいことを言ったという自覚はない。
そのため、首を緩く傾げて悠人の方をじっと見つめて尋ねる。
「だーっ、くそが」
荒々しい言葉を愛結にぶつける。
愛結は相変わらずきょとんとしている。
『貴女、愛(メグミ)ちゃんに似てるわね』
突然、愛結の脳裏に言葉が届き辺りを見渡す。
「愛結、どうした」
突然の挙動不審の行動に悠人が心配し、真剣な眼差しを愛結に向ける。
「いや、言葉が……聞こえて……」
『ごめんなさい……愛ちゃんっていっても分からないわよね。……貴女の本当のお母さんよ』
また、脳裏に言葉が届く。
これ程、胸が締め付けられるような発言というのは初めてだ。
聞き覚えのない名前なのに心拍数は冷えて息が止まりそうになる。
次の瞬間、いつも神が現れるときに見える神秘的な光が写真で見た人と共に目の前に現れた。
「初めまして。愛ちゃんの子どもちゃん」
へらりと緩い表情を浮かべて言う神にただただきょとんとすることしかできなかった。
この人は、母のことを知っている。
愛結はそれを確信した。