愛結の隣に悠ちゃん
昔話
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「ひっく……ひっく……」
白石 愛は中学生の時いじめられていた。
原因は、幽霊が見えるうえに幽霊と話すからだ。
制服は汚れ、教科書やノートには落書き、筆箱や鞄などの私物は全てゴミ箱の中。
愛はそれでも学校に行き続けたが、それを見ていられなくなったのは両親であった。父の仕事の転勤を機に、関西へ転校したのだ。
「白石 愛と言います。よろしく、お願いします」
愛は可愛らしい小さな背丈に緩く巻いた肩より少し長い髪の毛、白い肌に長いまつげ。男子生徒の間ではすぐ噂になった。
愛のことを見ていたのは、同じクラスの忍足 良介も同じであった。
「私、三次 友里亜(ミツギ ユリア)。よろしくー。私もね去年関東から来たんだあ」
気さくに話しかけてくれたのは友里亜、後の悠人の母である。
「俺は財前 修や。よろしゅうな!!」
次に話しかけてくれたのは修。
にっと笑うと八重歯が見える。
「あ、修ね私の彼氏なんだあ」
にこりと笑って言う。
その紹介に照れて頬を赤くする修。二人の姿が微笑ましくて羨ましかった。
「あ、ほんでなー。こいつは忍足 良介やでー」
修がぐいっと肩を引っ張り愛に見せたのは眼鏡をかけた美少年、良介であった。
「ちょ、やめろや……」
目立つことが好きではないのか、愛とは全く目を合わせてくれない良介。
そんな良介の姿や修、友里亜と仲良くなるのに時間はかからなかった。
そして、良介と愛が付き合うのにも時間はかからなかった。
よく、良介と愛、修と友里亜のカップルでダブルデートに出掛けていた。