愛結の隣に悠ちゃん
高校生になり、眼鏡をコンタクトに変えて、頭がよくクールと周りから言われる良介はモテ始めた。
中学生の時はいつも友里亜がそばにいてくれたから、良介に気がある子がいても友里亜が追い払ってくれていた。
良介と愛が付き合っていることは、学年でも有名な噂なのに、女の子達はまだ良介のことを諦めずにアピールをする。
運が悪いことに良介は特進コース、愛は普通コースなのでクラスが一緒になることは絶対にない。
愛の中で良介を束縛する気持ちと嫉妬する気持ちが度重なり、胸の中はいつまもやもやであった。
そんなとき、愛に再び幽霊たちが話しかけるようになった。
以前のように授業中や教室内ではなく、屋上や放課後や体育館裏などの人のいないところであった。
良介にもまだ幽霊が見えることを伝えていない。
『愛、頑張れよ?学生のうちに恋愛しておかねぇとな』
「ありがと……ちぃくん……」
幽霊の名前は千歳(チトセ)くん。
高校生の時に不良だったようで、見た目は金髪、ピアス、乱れた制服とちゃらちゃらしている。彼女とバイクに乗っていたら事故に遭い、彼女は生きていて今は社会人をしているそうだ。
彼は優しい。
良介とのことで悩み、嫉妬していて泣いていたら優しく励ましてくれた。
彼も彼女とはうまくいかず、仲直りをするためにバイクでデートをする途中で事故に遭うという未練残りまくりの人生を送ってしまったのだ。そして、今に至る。
「愛……?ちぃくん……って?」
突然屋上の扉が開き、良介の声が震えている。
表情も曇っていて目に少し涙をためている。
愛も同じように目に涙を溜めている。勘違いされたと分かったからだ。