愛結の隣に悠ちゃん
「へ……?」
タイミング、それは最悪である。
愛はぽかんと口を開けて屋上の扉にいる良介をじっと見つめる。
「……愛、俺のこと好きやなくなったんやな」
寂しそうな表情を浮かべて愛の前からいなくなろうとする。
同時に愛がすっと立ち上がり駆け足で良介のもとへすぐさま寄る。
『……今を逃したら絶対後悔する、行ってこい。俺みたいな奴が見えるってことも言え、そのうちばれることだし、あとから知った方が亀裂が入るかもしれないし』
千歳が背中を押してくれたのだ。
愛は良介のもとへ行き、大胆に愛が良介へ抱きつくような形になる。
「め、愛……?」
「ごめんっ……なんでもないのっ……私が話してたのはっ……その、信じてもらえないかも出しっ……嫌がられ、るかもっ……ひっく……だけどっ……」
もしも嫌われたらどうしよう。
そんな不安が込み上げてくると涙が自然と溢れ出してきた。
「ちょ、どないしてん」
良介が慌てて愛の背中を擦り優しい眼差しを愛に向けて小さな子をあやすように背をあわせてじっと見つめる。
「いやっ……嫌われるっ……」
愛が涙を浮かべた表情で良介に言い、良介の顔から自分の顔を反らし首を横に振れば愛の顎をつかみ無理矢理ともいえる口づけをする。
これがお互いにとってファーストキスとなった。
「アホか!!愛のこと好きやからずっと付き合っとんやろ!!なんで言えんねん!!どんなこと言われたって嫌わんわ!!」
良介が今までこれほどまでに感情を露にさせたことはない。
感情をむき出しにした良介の姿を目を丸くして見つめる。
「あー……愛にはこんな荒っぽいとこ見られたくなかったのに」
くしゃりと髪をかきあげて良介が言い、屋上の壁に背中を擦りながら床にぺたりと座り込む。