愛結の隣に悠ちゃん

神様、参上



ご飯をきちんと食べて緩い笑みを溢した愛結の口元についた米粒を悠人が指先で摘まみ食べる。

一緒に仲良く手を繋ぎながら道を歩く。
田舎町でほぼ人とは出会わない。

「あっ、ここだよっ!!悠ちゃんっ」

「おー、でけぇな。あっ、こら愛結走んな!!」

神社を見つけた途端に走り出す愛結に慌てて声をかける悠人。

最初の神社は町で知らない人はいない神社で健康などを祈ると不思議なことに治ることが多々ある人気もある神社なのだ。

「あー……うるせぇ。まだ8時半じゃねぇか!!なに騒いでんだ……」

突然愛結の前に突然神秘的な光に包まれて登場したのは赤を基調とした甚平を少しだけ着崩した銀髪の20代くらいの男。

「悠ちゃんっ」

不安でいっぱいになってしまうと悠人の腕を掴むのはいつもの愛結の癖。
小さいときから庇ってくれる悠人に頼りっきりなのだ。

「あー?わりぃわりぃ。お嬢ちゃん、怖がんなって。何を隠そう、俺はこの神社の神だからな!!」

どやっと顔を決めてこちらを見てくる。
その表情に愛結は大きな目をさらにぱちぱちと瞬きを繰り返させる。

「えっ。本当!?悠ちゃんっ。神様だよっ」

ふにゃりと緩い笑みを溢し悠人に嬉しそうに告げる。

「あ、あぁ……」

悠人も今の状況を飲み込めずにいて、愛結の言葉に流されて頷くような状況にはなるがなかなかついていけない。

「あのねっ。5つの神社を巡ってお願い事をするとね、願いが叶うんだって!!」

「あぁ、知ってる。でも、それは神である俺の条件がもちろん必要だ」

仁王立ちをして言う神。
……神様って本当にこんなこと言うのだろうかと疑問に思う愛結と悠人であった。



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