愛結の隣に悠ちゃん
その話を聞いて愛は涙が止まらなくなる。
会ったこともない人にそんな話をするなんて恥ずかしいのに。
そんなことを聞くと赤面してしまいそうになる愛だが、今日は嬉しくて笑ってしまう。
「それ、開けてください」
石田の言う通り、愛は指輪ケースを開ける。
中にはハート型のプラチナの中にダイヤを嵌め込んだ可愛らしい形の指輪だ。
そして、小さな手紙が折って入れてある。
“毎日笑かすで!結婚せえ!”
学生時代とは違う強制的な強気のプロポーズに目を丸くさせてくすりと笑う。
「なによ……」
どうして、涙をさらに溢れさせるようなことばっかりするんだと思い、指輪ケースをぎゅっと握りしめる。
力が緩んでしまいネックレスケースを落としてしまうと、中身が出て二枚綴りになった手紙も落ちる。
ネックレスもハート型のプラチナの中にダイヤを嵌め込んだ同じデザインのものだ。
【白石(そのうち忍足になる) 愛へ
愛、元気にしとるか?
今、事故に遭ってしもうたわ。
結構ヤバイから、俺おらんくなるかもしれん
でもな、愛は幽霊見えるやろ?
絶対愛に会いに行くから
愛しとる
忍足 良介】
汚い書きなぐられた字で二枚に書かれた手紙。
その手紙を見てくすりと笑う。
「他の荷物とかは燃えてたのに……これと愛さんの写真だけ、残ってて……この手紙を先見てしまって……」
申し訳なさそうにする石田に首を横に振り、一礼して“ありがとうございます”と消えそうなほど小さな声で言い、家へ帰る足を早める。
生きないと。
良介が会いに来るのだから、子どもと……一緒に待っていないと。