愛結の隣に悠ちゃん

神社巡り ―愛の願い―




両親には出産を反対されたために、家出をした。

良介が会いに来るのに、子どもを見殺しになんて絶対にできない。良介がこの世にいない今、唯一良介の血と愛の血を持っているのは赤ちゃんだけなのだから。

両親が反対する理由は、経済的なものと父親がなくなって一人で子育てするのはかわいそうだというからだ。

愛は小学生のときに流行った神様のいる五つの神社巡りをすることにした。

出産まではあと少し、一泊二日で関東へ行き神社巡りをした。

最後に回ったのは、愛結らが三つ目に回った美形な男の神のいる神社だ。

「あらあら、可愛らしい子を宿らせて……お名前はなんていうの?」

神秘的な光に包まれてやって来たのは神。

「……女の子って分かってて、色々な愛に結ばれると書いて愛結です」

お腹をさすりながら神に告げる。

「愛結ちゃんね、かわいいお名前だこと。……貴方の神社巡りは全て達成しました。願い事はなんですか?」

優しく微笑み、神が愛に尋ねる。

「忍足 愛結を……私たちが守れない分、他の方に守っていただきたいんです……」

苦しそうな表情をして神に言う。
愛は医者に妊娠は死を覚悟しないとかなり厳しいものとなると言われているのだ。
一瞬は生むかどうか迷ったが、ここで生まなければ良介に会わせる顔がないと思ったのだ。

「……貴女の願いはそれで良いのですね?」

神が繰り返し愛に尋ね、そのたびに愛がこくんと頷く。

「っ。い、たいっ……」

実は神社巡りをしていたときから、襲っていた痛みがまた愛を襲う。
陣痛だ。陣痛の間隔は五分おきというもう生まれることを教えているのだ。

愛はあまりの痛みに耐えられなくなると目をつむり気を失ってしまった。


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