愛結の隣に悠ちゃん
「……ここは、どこ?」
確か、神社巡りをしていたはずなのに。愛がいるのは真っ暗な部屋だ。
病院、というわけでもない。痛みもない。
そして、はっとする。
「赤ちゃんは……?」
辺りをきょろきょろと見渡す。しかし、何もない。
「愛……」
懐かしい、愛しい人の声がする。
声のする方を見れば、そこには良介が両手を広げて立っていた。
「……っ。赤ちゃんは!?」
ぎゅっと良介に抱きついて寂しさのあまり最後に抱きついたときよりさらに強く抱きつく。
そして、気になることを良介に尋ねた。
「……下、見てみい」
良介が下を指差すのでそちらに目を向ける。
すると、真っ暗だった部屋が明るくなりそこには修の腕の中には男の子、友里亜の腕の中には女の子の赤ちゃんがいた。
「女の子の方が、愛結や。愛に似て可愛らしいなあ……」
良介が優しい笑みを浮かべて言う。
「俺らは天からやないと愛結のことを見ることができん。でもな、守ってくれることは修や友里亜や悠人くんがしてくれる。俺らは……あいつらが皆幸せになれるよう天から見守るで」
愛の肩を抱きながら良介が言う。
「愛結には……幸せになってもらわなあかんからな」
にこりと嬉しそうに天から四人を微笑ましく覗いていた。
神の力により、愛から赤ちゃんを引き取ったことになっており、家族のように扱ってくれるようにしている。
本当は神社で愛が倒れて、愛結もお腹のなかで亡くなるはずだったのだが、神社巡りで愛結を幸せにしてほしいと言ったから、愛のお腹から無事に救出された。
だから、愛結は絶対幸せにしなければいけない。救えた命なのだから。
悲しませることなんて、絶対にしない、それが二人の想いであった。