愛結の隣に悠ちゃん
神様のお願い事
「ねぇねぇっ、神様っ。条件ってなに?」
「んー、そーだなあ。甘いものが食べたい!!甘くて旨いものな!!それを持ってきたら認めてやろう」
仁王立ちのまま鼻を鳴らして愛結に言う。
神と愛結の間に悠人が立ちはだかる。
「待て、愛結。怪しすぎる男に神だって言われて信じる奴なんて愛結くらいだろ。本当に神か確かめないと」
神と言う男の顔を睨み付けるように見て愛結には優しい声音で話す。
「失礼なこと言ってんじゃねーよ。神だっつってんだろ……んー、そーだなあ……俺は人の病を治すことができる……まあ、まじないをかけるだけで信じない奴のは叶えてやんねぇがな」
ふん、と鼻を鳴らして言う。
しかし、それを本当かどうか試す手段はない。
「あ、そうだ……」
悠人がなにかを思い出したように言えば愛結の服の袖を捲り上げて手首にできた傷を神に見せつける。
「勿論、こんな傷も治せるはずだ。神とやらはな」
「あぁ、お安いご用だ」
悠人が挑発的に言えば神は愛結の手首にそっと触れてそのままゆっくりと手を離しまたも神秘的な光が愛結の手首を包み込む。
すると、愛結の手首に出来ていた傷がすっと消えた。
「わっ……すごいっ、傷なくなった!!」
「お嬢ちゃんはちゃんと神様を信じてるもんな。だからだぞ」
神が愛結の頭を優しく撫でる。
満足そうに笑う愛結とそれを気に入らないという表情で見る悠人。
「悠ちゃんっ、甘いもの探しにいこっ!!」
悠人の手を引っ張りはしゃいで楽しそうにしている愛結を目の前にして悠人はただ苦笑いをこぼしている。
神はひらひらと手を振り二人を見送った。
最初のミッションは甘いものを探すこと。