愛結の隣に悠ちゃん
六章:四つ目の神社
「……」
家に帰り食卓を家族三人で囲む。
しかし、三人の間に会話はない。
「……ままっ……ごめんなさいっ」
気まずい空間を立ちきったのは愛結。
父と母は覚えのない謝りにきょとんと首を傾げる。
「……愛結、何かしたの?」
「愛結っ……ままにわかっもらいたかったのっ……悠人がちゃんといるって……っ」
母がきょとんとしたまま尋ねれば、愛結はこれまでにあったことをすべて話した。
本当なら信じられない話である。
神であるとか話してもいない母親のこと。
それを知っている愛結なのだから、話を信じないわけにはいかない。
「……あのね、愛……愛結の本当のお母さんはね愛結のことを本当に大切に思っていたの。良介くんに会わせなきゃって……」
母が涙ぐみながら愛結に言う。
「お母さんね、愛以外に女の子の友達いなかったの」
母がある事実を愛結に言う。
「ほんと、嬉しかったわ……男の子の友達はたくさんいたけど……女の子の友達がいないから修学旅行とか、本当大嫌いだった。男が好きなら男と組めばいいって女の子達にさんざん言われたわ。本当は……女の子のなかにいたかったのにっ……」
唇を噛み締めながら悔しそうに母が愛結に告げる。
そんな母の姿を見て父が優しく母の背中を擦る。
「……そんな昔のこと思いだすな」
「大丈夫……お父さんと出会って……より、楽しくなったし愛とも出会えて嬉しかった……愛結、貴女にお礼を言うわ……ありがとう」
母が一筋の涙を流しながら言う。
母の暮らしてきた毎日というのはどのようなものかは知らなかったけれど、母の涙を見て若干察することができた。
そこから、三人の箸が進むことはなかった。